こんにちは
今回は遺言書の検認についての情報提供です。
※今回はお客様にご相談いただいた件で弊所の直接的な業務ではないものの、
情報提供させていただきたいと考え掲載を決めました。
弊所は行政書士の事務所ですので、
裁判所に提出する書類の作成をお受けすることはできません。
役所発行の書類の取得についてはお手伝い可能ですのでお気兼ねなくご相談くださいませ。
<目次>
1.遺言書を見つけたらどうすればいいのか?
2.どんな書類が必要なのか?
3.戸籍謄本は返してもらえるか?
4.遺言書があれば遺言書と異なる分割は認められないのか?
1.遺言書を見つけたらどうすればいいのか?
亡くなった方の遺言書を見つけたとき、
遺言書を預かっていた場合に遺言書を書いた方が亡くなった場合
には家庭裁判所で検認を受けなさい、ということが民法に定められています。
民法1004条
1 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出し、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなけば、開封することができない。
1005条 前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。
2.どんな書類が必要なのか?
細かい書類の出し方は割愛しますが、申立書と添付書類を準備します。
被相続人(亡くなった方)が最後に住所の管轄の家庭裁判所に書類を提出します(検認の申し立てといいます)。
①家事審判の申立書(収入印紙貼り付け必要)
②被相続人(亡くなった方)の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本等
③相続人の戸籍謄本
④遺言書(封筒に封入されている場合はそのまま、封をされていない場合にもそのまま必要ですのでご注意ください)
⑤切手(相続人の人数等による)
⑥原本還付申請書と還付を受けたい書類の写し※3で説明
①家事審判の申立書の記載については、裁判所HPにも例示があり、
戸籍謄本等が揃えば記載自体はそれほど難しいものではありません。
また、③の戸籍謄本についてもそれほど取得に迷われることはないでしょう。
遺言書を保管されていた方、見つけた方の記名・押印することになりますので、
それぞれの相続人による署名等の必要はありません。
問題となるのは、②被相続人の戸籍謄本等です。
本籍地の移転や戸籍の改編がある場合には、
改正原戸籍、場合によっては除籍謄本など普段聞きなれない書類を準備する必要があります。
③の現在の戸籍についてはマイナンバーカードをお持ちの方は、
お近くのコンビニエンスストアなどでも取得できますが、
除籍謄本や改正原戸籍については役所で取得する必要があります。
書類の取得のみを行政書士などのプロに依頼される方もいらっしゃいます。
3.戸籍謄本は返してもらえるか?
遺言書の検認手続きで使用する②、③の書類は、
後々金融機関で預金払戻の手続きを行ったり、
不動産の登記移転手続を行う際にも利用する書類となります。
「⑥原本還付申請書と還付を受けたい書類の写し」を提出することで、
検認手続が終わり次第、原本を返してもらうことができます。
4.遺言書があれば遺言書と異なる分割は認められないのか?
遺言書がかかれた頃とは状況が異なっている、
遺言書に記載されている相続財産に変動があるなどの事情によっては、
遺言書と異なる内容での分割を希望される方は決して少なくありません。
遺言書があっても、相続人全員の同意によって遺言書と異なる内容の協議を成立させることが可能です。
整った協議に則って金融機関等でのお手続きをスムーズにおこなうえで遺産分割協議書の作成が必要になります。
※金融機関の用紙へのご署名・ご捺印が払戻を受ける方のもののみでよくなるため便利です。
「自筆証書遺言はまず家庭裁判所で検認」という情報は案内をもらうタイミングがないため、簡単にではありますが、記載させていただきました。
また、遺言を書かれるご本人様が遺言書を書かれた段階でプロのチェックを受けていることが望ましい例も多々見受けられます。